駆除捕獲後の死骸処理における課題
枝幸町では、市街地に出没するまでにエゾシカは数を増しており、住民からは被害軽減対策を望む声が多くありました。駆除捕獲後の死骸は一般廃棄物になるため、その適正処理は地方自治体の責任となりますが、適正な数になるまでの捕獲という暫定的な処置に対して、新たに恒久的な高額焼却施設を建設し維持することは大きな財政的負担となります。死骸処理のために新しい処理法を開発
そこで、焼却に替わる効率的かつ低コストの処理法が必要とされ、枝幸町ではホクレン農業総合研究所との共同研究により平成22年度から取り組んで来た好気性発酵技術を用いた地域資源の利活用の実証成果を利用し、交通事故死骸、駆除死骸や残滓の好気性発酵処理法を開発することに成功し、「枝幸式発酵減量法」として実用化しました。 好気性発酵は広く行われている堆肥化と同じ技術であり、操作が簡便で個人のレベルでも取り組み易いのですが、野生動物の死骸を安易に好気性発酵処理することは、環境汚染の拡大や病原菌伝播による人畜への被害をもたらしかねません。有害鳥獣の死骸や残滓の好気性発酵処理を安全に行うためには、発酵の基礎技術と同時にたくさんの法令の遵守を含む処理法でなければなりません。この発酵減量法では、「堆肥」あるいは「堆肥化」の用語の代わりに「発酵床(種)」、「好気性発酵」と記載しています。これは、発酵分解物を堆肥として農地や居住区内で利用することがないように、また、生産者が誤解して自家の堆肥盤で処理することがないようにするためです。
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